#2:東京大学 東洋文化研究所の石獅子

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旅順博物館(旧・関東庁博物館)前の石獅子      東京大学 東洋文化研究所前の石獅子

 東京大学 東洋文化研究所(東京大学総合研究博物館に隣接)の玄関両脇に白色の巨大な石獅子が据えられています。これはもともと文京区大塚に所在した東方文化学院 東京研究所(1933年竣工、現在は拓殖大学 国際教育会館)に設置されていたものです。1948年に東京大学 東洋文化研究所と統合されて、1967年に東洋文化研究所が本郷に移転して28年後の1995年に大塚の東方文化学院 東京研究所の建物が拓殖大学に払い下げられた際に、石獅子は東洋文化研究所の玄関脇に移設されたと思われます。この石獅子は、関係者によれば「北京の宮殿に飾られていたと伝えられている」(千代延 恵正2022「茗荷谷時代の東京大学 東洋文化研究所と東京大学イラク・イラン遺跡調査室」『東洋文化研究所の80年』597ページ)とされていますが、詳細は不明です。酷似する石獅子が、旅順博物館(旧・関東庁博物館)正面玄関に据えられています。(I.A.)

              左:「関東庁博物館陳列品 石彫獅子 高九尺五寸   右:「北京城写真(天安門前獅子・太和門前獅子)」            北京松公府ヨリ将来」                                   (宮内庁書陵部所蔵資料目録・画像公開システム)(東北大学総合知デジタルアーカイブ)                                                                         

 東洋文化研究所玄関前に設置されている石獅子について、関連する写真画像が新たに見つかりました。(2024年7月16日追記)

 左:「関東庁博物館陳列品 石彫獅子 高九尺五寸 北京松公府ヨリ将来」は、『旧明信片中的老大連』(文物出版社)所収の絵葉書で、東北大学総合知デジタルアーカイブに「石彫獅子」(狩野文庫)として収納されています。

 右:『北京城写真』は、書陵部所蔵資料目録・画像公開システムで「函号:B9-46(九)天安門前獅子・(十五)太和門前ノ獅子」として解説文と共に収納されています。宮内庁の「資料詳細」「刊写情報」では、「写真、明治、東京 東京帝国大学(工科)」としか記されておらず、撮影年等は不明ですが、「北京城写真」に収められた画像と同じものが東京国立博物館において「清朝末期の光景 -小川一真の北京城写真-」として2017年に公開されており、北清事変の最中の1901年に東京帝国大学が紫禁城を調査した際に写されたことが判明しました。                                 

 こうしたことから東洋文化研究所玄関前に設置されている石獅子に酷似する旧関東庁博物館(現:旅順博物館)玄関前の石獅子は「北京松公府」からもたらされたこと、同じように酷似する石獅子は1901年の時点で「北京紫禁城」に存在しており日本人が撮影していたことが明らかになりました。なお宮内庁所蔵資料の掲載につきましては、2024年7月9日付にて許諾を得ました。(I.A.)

「東方文化学院東京研究所 本館」(内田祥三資料:02_A44_002、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻所蔵)

 1933年9月に東京陸軍兵器廠跡地に竣工した東方文化学院東京研究所(現在は拓殖大学国際教育会館別館)、正面玄関両脇に東京大学東洋文化研究所に移築された石獅子を確認することができます。(2024年8月27日追記 I.A.)

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